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「デカければエラい」 という貧困な発想からか、平壌ではやたらと巨大な建造物が目に付く。
その中でもひときわ目立つのがコレ、柳京(ユギョン)ホテルである。
105階建て、高さ330メートル、部屋数は3000以上。
完成すれば 「世界最大のホテル」 となるはずだったのだが、
今では、「単独の建造物としては世界最大の廃墟」 として、世界にその名を轟かせている。
89年、北朝鮮はソウルオリンピックに対抗して
「世界青年学生祭典」を開催。
その開始に間に合うよう、87年から建設を始めたのが
この柳京ホテルである。
ところが構想が壮大すぎて資金不足に陥り、
89年に間に合うどころか92年になっても完成せず、
しかも91年、ソ連崩壊。
建設費の援助を受けられなくなって
そのまま工事を中断。
以後は窓ガラスすら嵌められないまま、
16年もの間放置されることになる。
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「未完成の建物をさらしておくのは恥ニダ」 と考えたのか、
一時は建築現場を観光コースにしたりと内外に積極的に宣伝していた柳京ホテルを、
一転、「なかったこと」 にしようと画策。
2000年代の観光地図からは柳京ホテルの名が消え、
ツアーパンフ等は、「ホテルの部分だけ絶妙に見切れさせる」 という念の入れようであった。
▲ 2002年ごろ作られた観光パンフの、とあるページ。
右上の大き目のビルの、その隣にあるはずなのだが・・・。デカいのが。
・・・こんなんでごまかせるワケねえだろっ!!
さすが大国アメリカに勝ち目のないケンカを売る奴らだ。ファイティングスピリットも規格外である。
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▲左はチュチェ思想塔展望台から撮った東側面。右は西側面。今は一部窓ガラスが入っている。 |
どういうわけか2008年、エジプトの携帯電話会社の援助によって、突如工事が再開。
現在は、2012年の金日成主席生誕100周年行事に向けて完成を急いでいる・・・のだがっ!!
写真を見て、「!?」 と違和感を覚えたアナタ。ナイスネイチャー。鋭いですな。
噂ではこのホテル、完成前から既に傾いているらしい。
三角形という特殊なフォルムゆえの錯覚なのか・・・? カメラの腕の問題?
いやいや、下のビル群と対比しても、なんか曲がってるように見えるぞ。
この国で真偽の程は確認できるはずもないが、
完成したとしても、泊まるのには入国する以上の勇気が必要だろう。
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工事が再開されたとはいえ、完成までは近づくことは許されない。
見るだけなら、平壌市内の至るところから、イヤでも目に付く。
「祖国解放戦争勝利記念塔」の周辺が最もよく見えるポイントらしいので、
訪れた際は撮影チャンスである。
完成したら、誰か泊まってくれないかなあ。完成しないと思うけど。 (2009.09)
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